酔い覚ましの更新

 今まで酩酊してました。今も酩酊してます。客観的な状況を申せば、エリオット・スミスを聴きながら、北杜夫の「さびしい王様」を読んでたら、なぜか得体のしれない欝にのしかかられてしまい、やばいやばいよと手元にあった甲類焼酎(25パーセント4リットル1800円)を三ツ矢サイダーで割って飲み、世間と折り合いをつけてる状況。けれどもまあ、どうにかぼちぼち大丈夫です。


「さびしい王様」は北杜夫の作品中、最も寓話性が高く、おかしいのに悲しくて、さらっと読んだ後、しこりに似たものがずっと残る。はじめて読んだ小学生のときは気付かなかったけれど、尾形亀之助の「形のない国」を連想させるアイロニーが潜んでたり。ユーモア作家は得てして評価されにくいものだけど(セルバンテス)、芥川賞を取ったシリアスな「夜と霧の隅で」よりも、「船乗りクプクプの冒険」「楡家の人々」それにマンボウシリーズの方が遥かに素晴らしい。


 高橋源一郎西原理恵子吾妻ひでおとり・みきなど、北杜夫の影響、存在を自らの作品中で言及している作家は何人かいるものの、現在の彼の世間での評価は不当に低い。時代を超えた強度を持ってるのに。