ナインインチネイルズについて若干

 closureのビデオ(2本組)を1万近い値段で雑誌通販(ロキオン)にて購入したのも今は良い思い出。な私が、思いつくままにNINについて語ってみよう。


 彼の曲を知ったのが渋谷陽一のラジオ番組で流れたthe perfect drugだったこと。そのとき、同時にthe verveのbitter sweet symphonyも知ったこと。


 深夜に流れた音を聴いた翌朝、近所のCDショップに走ったこと。そこでDS、B、TPDの3枚を買ったこと。


 hurtの曲がギミックであること。だからこそ美しく普遍性があること(ジョニー・キャッシュもカバー)に気付いた最近。本当に自殺する人間は、こんな曲を書くことはできても、この曲をここまで仰々しいアレンジにしてアルバムのラストに置きはしない。エリオット・スミスを見ろ。


 次に出たアルバム「the fragile」は、そこから抜け出た、全く素のトレントレズナーだったこと。left1曲目の音酔いは分かってやってたんだな、と今は思う。2曲目からが生身のトレント。これほど赤裸々な姿はないほど。ビート、ノイズ、ディストーション、全てのサウンドが裸の身体にまとった鋼の防具のような、痛々しさを感じさせた。


 一方というかだからというか、あまりに剥き身な2枚組みのこのアルバムは見事にコケた。初動販売数からの転落度においてギネスをつくるほどに。次のアルバムでwith teeth(噛み砕いた)という、トリプルミーニングほど可能な(the fragileの普及盤、世間に噛み付く、混沌とした、etc)タイトルをト作らせるまでに。でもこのアルバムは1曲目の3分12秒からの1分ちょっとが最高なんです。